第二次世界大戦を舞台にした大人気グランドストラテジー『Hearts of Iron IV』に、新たな拡張パック「No Compromise, No Surrender」が登場しました。今回は日本、中国、フィリピンといったアジア太平洋地域に焦点を当てたコンテンツとなっており、発売を心待ちにしていた司令官も多いことでしょう。しかし、Steamをはじめとするコミュニティでは、その価格設定や変更内容に対して熱い議論が巻き起こっています。果たしてこのDLCは価格に見合う価値があるのか、それともセールを待つべきなのか。世界中のプレイヤーから寄せられたレビューや感想を分析し、その評価を分かりやすくまとめました。
Expansion – Hearts of Iron IVはどんなゲーム?
本タイトルは、第二次世界大戦の指導者となり自国を勝利へ導く戦略シミュレーションゲーム『Hearts of Iron IV』の追加ダウンロードコンテンツ(DLC)です。今回の拡張では、主にアジア戦線の深掘りが行われています。
具体的には、以下の国々の国家方針ツリー(フォーカスツリー)が大幅に刷新、または新規追加されました。
- 大日本帝国:太平洋の支配権をめぐる新たな歴史の可能性を探求できます。史実通りの拡大はもちろん、共産主義化や民主化など、全く異なる「if」のルートも用意されています。
- 中国(国民党・共産党):国共内戦や対日戦における選択肢が増え、内部の権力闘争や軍閥との関係性がより詳細に描かれます。
- フィリピン:侵略者への抵抗や独立に向けた独自のツリーが実装され、資源を活用した外交戦略が可能になりました。
さらにシステム面でも大きな変更が加えられています。軍事ドクトリンのシステムが柔軟になり、戦況に合わせて軍隊をカスタマイズできるようになったほか、海軍や航空母艦のメカニズムにも調整が入りました。単なるデータの追加にとどまらず、ゲームプレイの根幹に関わる部分にも手が入った大型拡張と言えます。
Expansion – Hearts of Iron IVの面白い点
肯定的な意見の多くは、長らく更新が待たれていたアジア諸国のプレイ感が向上したことや、システム刷新による戦略性の深まりに集中しています。特に日本や中国でのプレイを好むユーザーにとっては、新鮮な体験が得られるようです。
- 軍事ドクトリンの自由度が大幅アップ: 従来の固定化されたツリー形式から、必要なボーナスを選んで取得できる形式へと変化しました。これにより、「爆撃機の強化が欲しいのに、使わない戦闘機の研究を経由しなければならない」といった無駄がなくなり、自軍の強みを活かした鋭い編成が可能になっています。この変更は多くの戦略家から「新鮮な空気」として歓迎されています。
- 日本の新ルートが刺激的: 古いDLCのまま据え置かれていた日本の国家方針が現代的な水準に引き上げられました。特に共産主義ルートなどでは、驚異的な人的資源やバフを得てアジアを席巻できるなど、派手なプレイが楽しめます。史実とは異なる「ぶっ飛んだ」展開を楽しめるのも本作の醍醐味でしょう。
- 海軍システムのリアリティ向上: 制海権の判定が「0か100か」という極端なものではなくなり、よりグラデーションのある支配権争いができるようになりました。艦隊の移動や空母の運用において、より納得感のある挙動になったと評価する声があります。
このように、既存のシステムに飽きていたプレイヤーに対し、新たな思考の楽しみを提供している点は間違いなく評価されています。
Expansion – Hearts of Iron IVのダメ・つまらない点
一方で、否定的なレビューは圧倒的に「価格設定」と「既存コンテンツとの重複」、そして「一部のシステム変更」に向けられています。長年のファンほど、開発元の姿勢に疑問を抱いている傾向があります。
- 価格が内容に見合っていない: 最大の不満点は、DLC単体で30ドル(約4500円以上)という強気な価格設定です。ベースゲームの半額以上もしながら、提供されるコンテンツが日本や中国の刷新メインであるため、「割高すぎる」との声が殺到しています。特に、過去のDLC『Waking the Tiger』ですでに同地域の刷新にお金を払ったユーザーに対する割引や配慮がない点が批判されています。
- 強襲上陸システムの改悪: 上陸作戦の仕様が変更され、複数の地点へ同時に侵攻することが難しくなりました。「シチリア島への上陸ごっこ」しかできないと揶揄されるほど戦略の幅が狭まり、不便になったと感じるプレイヤーが多いです。リアリティの追求かもしれませんが、ゲーム的な爽快感を削いでしまっているようです。
- マルチプレイ環境への悪影響: 手動での部隊操作(マイクロ)のメリットが減り、前線システムによる自動化が推奨されるような調整が入りました。これにより、プレイヤーの技量が反映されにくくなり、「ただAIが戦うのを眺めるだけになった」と嘆く熟練プレイヤーもいます。
- コンテンツの不足とバグ: 満州国や蒙古国、その他の軍閥についての更新がほとんどなく、期待外れだったという意見もあります。また、リリース直後ということもあり、極端にバランスが崩れた国家方針やバグも散見され、品質管理への不信感を招いています。
まとめ
総評として、今回の拡張パックは「内容は興味深いが、コストパフォーマンスに大きな課題がある」と言わざるを得ません。ドクトリンの刷新やアジア戦線の充実は魅力的ですが、過去のDLCとの重複感や強気な価格設定がファンの反感を買っているのが現状です。
以下のような方にはおすすめできるかもしれません。
- 日本や中国でのプレイを極めたい熱心なファン
- 新しいドクトリンシステムをいち早く研究したい戦略家
- 価格を気にせず、常に最新の環境で遊びたい人
しかし、多くのプレイヤーにとっては、バグ修正やバランス調整が進み、価格が落ち着くセール時期を待つのが賢明な判断と言えるでしょう。開発元には、コミュニティの声に耳を傾け、価格に見合うだけの充実した体験を提供してくれることを期待したいところです。まずは無料アップデートで適用される範囲を確認し、それから購入を検討しても遅くはないはずです。
ゲームアプリ攻略ログ 
