AIと自由に対話しながら謎を解く、というユニークな触れ込みの『ハイマー2000』。果たしてこのゲームは本当に「面白い」のでしょうか、それとも「つまらない」のでしょうか。
結論から言うと、『ハイマー2000』は「静かで哀しい物語に深く浸りたい人」にとっては非常に面白く、「ゲーム的な手触りや驚き」を求める人にとっては物足りなく感じる可能性のある作品です。
その理由は、選択肢のない自由な対話システムやキーワード検索といった独特なゲーム性が、プレイヤーの内面と向き合うような哲学的な体験を生み出している一方で、探索や謎解きの面では単調さを感じやすい部分もあるからです。
この記事では、そんな『ハイマー2000』がどんなゲームなのか、そして実際にプレイした人々の「面白い」「つまらない」という両方の感想・レビューをまとめ、本作がどんな人におすすめなのかをご紹介します。
『ハイマー2000』はどんなゲーム?
『ハイマー2000』は、AIとの「自由な対話」を通じて、閉ざされた施設の謎を解き明かしていく、AI会話型謎解きアドベンチャーゲームです。
物語の舞台は、荒廃した施設「希望の家」。プレイヤーは回収員のフランクを操作し、この施設を管理していた人工知能「ハイマー2000」を回収する任務に就きます。
このゲームの最大の特徴は、従来のゲームのような決まった選択肢が存在しない点にあります。AIであるハイマーとは、プレイヤーが自由にキーワードを入力して対話を進めます。さらに、過去の会話記録を任意のキーワードで検索し、かつてこの施設で何が起こったのか、断片的な情報を集めていく必要があります。
ゲームの主な特徴を以下にまとめます。
- 選択肢のない自由な対話システムAIのハイマーに対し、プレイヤーが任意の単語や文章を入力してコミュニケーションを取ります。
- キーワードによる過去ログ検索施設内で交わされた過去の会話ログを検索し、物語の核心に迫る情報を掘り起こします。
- 80枚の「肖像」イラスト施設内に散らばる80枚の奇妙なイラストが、埃まみれの過去を繋ぎ合わせる鍵となります。
- レトロPC風の独特な画面古いパソコンのデスクトップを模したインターフェースが、ゲームの持つ独特な雰囲気を高めています。
プレイヤーはこれらの要素を駆使し、探索パートと検索パートを行き来しながら、ハイマーが守り続けてきた「希望の家」の秘密を最終的に解き明かしていくことになります。
面白い派の意見:AIとの対話が自分を映す鏡になる
『ハイマー2000』を「面白い」と感じた人々は、特にその物語の深さや、AIとの対話がもたらす内省的な体験を高く評価しています。
本作の魅力は、単なる謎解きに留まりません。AIのハイマーと交わす言葉は、次第にプレイヤー自身に問いを投げかけるような、哲学的とも言える側面を帯びていきます。
実際にプレイした人からは、以下のようなポジティブな感想が寄せられています。
- AIのリアルな距離感ハイマーの応答が非常に「AIらしい」という点が評価されています。「直接的な助けにはなれないけれど、常に関心を寄せ続けてくれる」という独特の距離感が、物語のテーマと深く結びついています。
- 自分自身と対話するような体験ハイマーに質問を投げかける行為が、次第に自分自身の記憶や過去と向き合う作業のように感じられた、という意見があります。ゲーム体験がプレイヤー個人の思い出とリンクし、記憶を整理するプロセスと重なったという感想も見られました。
- 哀しくも美しい物語物語の核となるテーマ(愛や命の意味)は、特定の小説(石黒一雄の作品など)の影響を強く受けていますが、その描き方が非常に丁寧で、登場人物たちの生き様や愛の物語に心を打たれたという声が多く上がっています。
このように、本作はゲームとしての楽しさ以上に、プレイヤーの心に深く響く物語体験を提供してくれる作品と言えそうです。記憶を拾い集める行為が、まるで引越しの荷造りのように、過去を封印する「儀式」のようだった、と表現する人もいました。
つまらない派の意見:ゲームプレイが単調?
一方で、『ハイマー2000』を「つまらない」あるいは「物足りない」と感じる意見も存在します。その主な理由は、ゲームプレイの単調さと、物語の新鮮味のなさにあるようです。
このゲームは、キーワード検索システムと、見下ろし型のマップ探索パートの組み合わせで進行しますが、このシステムが単調作業に感じられることがあるためです。
具体的には、以下のような点が指摘されています。
- 平坦なゲームプレイ探索パートがほぼ一本道であり、記憶の回収漏れがあった場合に戻るのが面倒に感じられる、という指摘があります。ファストトラベル機能が欲しいといった意見もあり、ゲームとしての遊びやすさにもう一工夫欲しかったかもしれません。
- 予想しやすい物語の展開物語の核心となる「秘密」は、元ネタとされる作品が有名であるため、かなり早い段階で察しがついてしまうようです。そのため、驚天動地のミステリーやトリックを期待すると肩透かしを食らう可能性があります。
- 検索システムの課題翻訳の表記ゆれ(例:「フライドチキン」と「鶏の唐揚げ」、「オレンジ」と「みかん」が混在)が、キーワード検索システムの足を引っ張っているという問題点も挙げられています。重要なログを探す際に、この表記ゆれが障害になる可能性があるのは悩ましい点です。
このように、独特なシステムや物語のテーマ性を評価する声がある反面、ゲームとしての手触りや展開の意外性については、物足りなさを感じる人もいることがわかります。
まとめ:『ハイマー2000』はどんな人におすすめ?
『ハイマー2000』は、派手なアクションや難解なパズルよりも、静かで思索的な物語体験を好む人に強くおすすめできる作品です。
本作は、AIとの対話を通じて「愛」や「記憶」、「生きる意味」といった深いテーマに触れられる、短編小説を読むような魅力を持ったゲームと言えます。
特に以下のような方に、強く刺さる作品ではないでしょうか。
- 石黒一雄の『わたしを離さないで』や『クララとお日さま』のような、静かで哀しい物語が好きな方。
- 『Her Story』のような、断片的な情報を組み合わせて物語の全体像を考察するのが好きな方。
- AIや哲学的なテーマに興味があり、自分自身と対話するようなゲーム体験を求めている方。
もしあなたが、使い古されたモチーフであっても丁寧に描かれた物語や、レトロPC風の独特な雰囲気の中でじっくりと謎を解き明かしていくことに魅力を感じるなら、この価格(定価560円)は十分すぎる価値がある小品です。
ゲームアプリ攻略ログ 
