日本を代表するホラー漫画家、伊藤潤二氏の作品群をベースにした新作ホラーゲーム『伊藤潤二『マニアック』・果てしない呪縛』がリリースされました。記憶喪失の主人公が謎の洋館を探索するという王道のシチュエーションに、「首吊り気球」や「富江」といったおなじみの恐怖がどのように絡んでくるのか、注目しているファンも多いはず。しかし、実際のところ「面白い」のか、それとも「つまらない」のか、購入を迷っている方もいらっしゃることでしょう。この記事では、本作のゲーム概要と共に、寄せられたレビューや感想をまとめてご紹介します。
『伊藤潤二『マニアック』・果てしない呪縛』とは?
まず、本作がどのようなゲームなのか、その概要を見ていきましょう。結論から言うと、本作は「探索」「サバイバル」「謎解き」を軸にしたホラーアドベンチャーゲームです。
物語は、記憶喪失の大学生が謎の洋館で目覚めるところから始まります。同じく閉じ込められた少女や、事件を追う刑事と協力しながら、洋館の仕掛けや謎を解き、脱出を目指すことになります。しかし、洋館には「首のない彫刻」のような脅威が徘徊し、探索の過程では「首吊り気球」や「暴走する黒髪」といった、伊藤潤二作品でおなじみの恐ろしい現象がプレイヤーを襲います。集めた手がかりを元に失われた記憶を繋ぎ合わせ、この悪夢のような洋館の真実を突き止めることが目的です。
- 探索
洋館の隅々まで調べ、手がかりを集めて真実へと近づきます。 - サバイバル
徘徊する脅威から身を隠し、危険を回避する緊迫感を味わえます。 - 罠
限られたアイテムやその場のものを利用して罠を仕掛け、絶体絶命の状況を打破することも求められます。 - 謎解き
複雑なギミックや謎を解くために、観察力と推理力が試されます。
このように、伊藤潤二氏の描く悪夢の世界を、プレイヤー自身が追体験するような内容となっているようです。
良い評価・面白い点
本作のポジティブな評価は、何よりも「伊藤潤二作品のファンサービス」としての側面に集中しているようです。原作ファンであれば、この世界観に浸れるだけで価値がある、と感じるかもしれません。
あるレビューでは、伊藤潤二氏のアニメ『マニアック』は未視聴ながらも原作ファンとして購入したところ、「首のない彫刻」や「富江」といった複数の作品の要素が、一つの世界観にギュッとまとめられている点を高く評価していました。PV通りの不気味な洋館を探索し、簡単な謎解きをしながら進むゲーム性は、『バイオハザード』のようだと評されています。また、海外メーカー(SOFTSTAR ENTERTAINMENT)製ながら、日本語の音声やテキストがしっかりしており、ローカライズの品質に問題がない点も安心材料です。そして、複数のレビューで共通して言及されているのが、「富江」の存在です。「富江ちゃんカワイイねぇ〜」といった熱烈なコメントもあり、彼女の魅力が(ゲームとしての評価とは別に)購入の動機になるほどであることが伺えます。
- 伊藤潤二作品の様々な要素(首のない彫刻、富江など)がクロスオーバーする独自の世界観。
- 原作ファンにとっては「たまらない」演出が盛り込まれている。
- 日本語の音声やテキストがしっかりローカライズされている。
- 「富江」のモデリングが魅力的である。
悪い評価・つまらない点(懸念点)
一方で、ゲームとしての快適性や、原作の完全な再現度については、いくつかの不満や懸念点が指摘されています。特に、PCゲームとしての基本的な機能に不満を持つ声が見られました。
最も具体的に指摘されているのは、オプション(設定項目)の少なさです。レビューによれば、グラフィックに関する設定項目がほとんどなく、特にキーコンフィグ(キーボードやコントローラーのボタン配置変更)が一切できない仕様のようです。これはPCの性能やプレイスタイルによっては、非常に不便を感じる可能性があります。また、ゲーム性についても、前述の「簡単な謎解き」という点が、裏を返せば単調である可能性も否めません。さらに、原作ファンならではの厳しい視点として、「富江の美しさの5%くらいしか表現できていない」という辛口な意見もありました。これは開発者の技術力というより、原作の持つ魔性的な魅力をゲームで再現すること自体の難しさを示しているのかもしれません。「ゲームとして値段の価値あるか微妙」という正直な感想もあり、ファンアイテムとしての側面が強いことを覚悟する必要がありそうです。
- キーコンフィグができず、グラフィック設定も最小限で、PCゲームとしての快適性に欠ける。
- 原作の「富江」の魅力を完全に再現できているとは言い難い。
- ゲームシステム自体に目新しさはなく、価格に見合うか疑問が残る。
補足:AIの使用と対象年齢について
本作は、購入を検討する上で知っておくべき2つの情報を開示しています。一つは「AI生成コンテンツの使用」について、もう一つは「対象年齢」です。
まず、AIの使用については、開発者によれば「少数のテクスチャと説明テキスト」のベースとしてAI生成コンテンツが使用されたとのことです。ただし、それらは「手作業によって適切に洗練され、最終的なアセット(素材)が制作された」と説明されています。AIを補助的に使用しつつも、最終的な仕上げは人間の手で行っているという内容です。
次に、対象年齢についてですが、「頻繁な暴力やゴア表現、および全般的な成人向けコンテンツ」が含まれると明記されています。伊藤潤二氏の作品が持つ、グロテスクでショッキングな表現がゲーム内にも含まれていることが予想されます。全年齢対象のゲームではないため、これらの表現が苦手な方や、年齢制限に満たない方は注意が必要です。
まとめ:原作ファン向けのホラーアドベンチャー
『伊藤潤二『マニアック』・果てしない呪縛』のレビューや感想をまとめると、本作は「伊藤潤二作品の雰囲気を楽しむための、ファン向けアイテム」という側面が非常に強い作品であると言えます。
「首のない彫刻」や「富江」といったスターキャラクターたちが共演する悪夢の洋館を探索できるという点は、原作ファンにとって何物にも代えがたい魅力でしょう。ローカライズも丁寧で、世界観に没入する準備は整っています。
しかしその反面、PCゲームとしての快適性(キーコンフィグの不在など)や、ゲームシステム自体の独創性については、あまり期待しない方が良いかもしれません。また、原作の持つ魅力を100%再現することの難しさも浮き彫りになっています。伊藤潤二氏の世界観に浸るためと割り切れるかどうかが、本作の評価を分ける最大のポイントとなりそうです。
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